本のガイドブログ~貴方の気分に添える本をご紹介~

年間数百冊×年齢(アラフィフ・・・)を読破してきた不二ちゃんことワタクシが楽しい気分、泣きたい気分、感動したい気分、家族愛な気分などそれぞれに合った気分の本を独断でご紹介いたします。

魚住くんシリーズ・メッセージ~余りにも切ない少女の運命に涙~

榎田ユウリ「魚住くんシリーズ・メッセージ」

榎田ユウリさんの魚住くんシリーズ全5巻のうちの第3巻「メッセージ」

題名のメッセージの意味が分かるとき思わず号泣してしまいます。

榎田ユウリさんはBL作家さんで、この魚住くんシリーズ
BLの部類に入りますが、それだけでない深い人間愛を感じさせてくれる物語です。


あらすじ


大学院生の魚住くんは、小さいころに家族を亡くし、
里親に何度か出されますが、そのたびに暴力や虐待をされ、
やっと幸せな家に引き取られたと思ったら、
その家族が交通事故で死んでしまうなどという不幸な生い立ちと、
男女を問わず惹きつけるその美貌が引き起こす過去の事件などから
味覚障害や人とのコミュニケーションが取れない残念な男。

それでも大学時代の友人・久留米と
その元彼女・マリ(魚住の家族を交通事故で奪った加害者の娘)、
隣の部屋に住むインド人・サリームたちと触れ合うことにより
少しずつ人間らしさを取り戻していきます。

そんな魚住くんが知り合いの先生に頼まれ、病院のクリスマス会を手伝ったとき、
さちという少女と知り合います。

さちはなんと義父に暴行を受けたことにより、エイズに感染してしまったという
不幸な中学生。
学校でもそれを理由にいじめられています。

魚住とさちは似た境遇から心を通わしていきます。

魚住が自分から心を開くなんてとても珍しい事。

さちも自分が作ったお菓子を気持ち悪がることなく(エイズなので)
なんのてらいもなく食べてくれる魚住に心を開きます。

そして魚住は久留米とさちと三人でさちの夢だった遊園地へ遊びに行きます。

とても幸せな時。

しかしそれは長く続きませんでした。

なんとある日、魚住の目の前で
さちはダンプカーにひかれて死んでしまうのです。

今まで何回も理不尽な目にあい、心を閉ざしてしまっていた魚住が
ようやく人間らしさが出てきた矢先の突然の再びの理不尽な出来事。

再び、周りをシャットダウンしてしまい自殺未遂を起こしますが、
久留米、マリ、サリームによって少しではありますが
前を向くようになっていきます。

そんな魚住のもとにカードが。

それはさちが遊園地から魚住に送ったメッセージカード

そこに書かれていたこととは・・・。


読後感想


さちが死んだ後に届くメッセージに思わず号泣してしまいます。

エイズで命の期限が決まっていたため、
死んでしまうとは思いましたが、まさかこんな突然の死が来るとは。

魚住くんシリーズは魚住くんの人間としての成長とともに
鈍感な久留米とのゆっくりとした恋もあります。

とにかく登場人物がみんな魅力的。
久留米は超鈍感だけどまっすぐで大きな男だし
マリは魚住の母親のようなとても格好いい女性です。
サリームもとても優しく温かい。

そんな登場人物ばかりの話の中でこの3巻はとても辛い痛い話です。

BLは苦手という方も全5巻を読んでいくといつの間にか
魚住と久留米の恋を応援したくなりますよ。