本のガイドブログ~貴方の気分に添える本をご紹介~

年間数百冊×年齢(アラフィフ・・・)を読破してきた不二ちゃんことワタクシが楽しい気分、泣きたい気分、感動したい気分、家族愛な気分などそれぞれに合った気分の本を独断でご紹介いたします。

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン~見返りを求めない母の無償の愛に涙~

リリーフランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」


カンヌ映画祭で金賞を取った「万引き家族」に主演、今や役者としても活躍している
リリーフランキーさんの自伝小説です。

2005年に本屋大賞もとり何度も映像化された作品。

映画は母親役を演じた樹木希林さんの印象が鮮明に残っています。


あらすじ

主人公のボクは九州の小倉で生まれましたが、4歳の時に両親が別居(離婚ではない)
オカンに連れられて築豊にあるオカンの実家に身を寄せることとなります。

夏休みなどはオトンとも会ってたりして、中学生の時に一度オトンと住むという話も
持ち上がりますが、結局立ち消えとなりました。

ボクは高校に進学する際には、若者特有の「ここではなくどこかへ行きたい」
と思う気持ちと
「オカンを解放してあげたい」という気持ちから
大分県別府市の美術高校をえらびました。

1人暮らしを始めたボクに進学や生活費など、色々とお金を出してくれるオカンに
内心は悪いと思いながらも、だらだらとした学生時代を過ごします。

高校卒業後の将来について、夢も希望も何もないボクですが、
オトンにこれだけは決まっていると宣言します。
オトンが「おう、なんか?言うてみい」と尋ねると
「東京へ行きたい」
と答えるのでした。

オトンにもっと色んなやつを見てこい、という後押しをもらい
東京へ出てきたボクは大学生活もダラダラとオカンの脛をかじって過ごし、
卒業後も就職せず、フリーのイラストライターとなります。

仕事もあまりなく、本当に貧乏なボクはガス、水道を止められ、
ついには家も追い出されますが、友人たちには恵まれます。

そんなこんなですこしづつ仕事も軌道に乗ってくるのですが、
そんな折にオカンに病気が見つかります。

そして僕は言うのです。
「東京で、一緒に住もうか?」

そうして二人は東京で一緒に住むことになるのでした。


読後感想

とにかくボクもオトンもオカンの脛をかじりすぎなんです。
(オカンひざ下なくなっちゃうんじゃないの?と思えるほどに(笑))

でもそんなボクに無償の愛・献身的な愛を注ぎ続けるオカンが
読んでいて辛かったのですが(当時独身)、
母となった今はオカンの気持ちが痛いほどわかります(笑)

「オカンの人生は十八のボクから見ても、小さく見えてしまう。
それは、ボクに人生を切り分けてくれたからなのだ」

ボクとオカンの関係を象徴する印象的な言葉です。
ボクも不器用なんですが、オカンを心から愛しているんです。

オカンが亡くなった後、オカンが唯一死ぬまで手放さなかった大事なもの、
“ぬか漬け”をオトンと二人で食べるシーンは
二人の不器用な愛が感じられとても心に残る場面でした。
(今でもぬか漬けを食べていると「東京タワー」のこの場面を思い出します。)

題名となった「東京タワー」とはまさしく東京の象徴的なもので、
その東京タワーを軸に時代は駒のようにくるくる回るという事を
リリーさんは表しているのだと思います。

オカンの人生もボクの人生も流れのままにくるくる回ると・・・。

読み終わって痛烈に感じた正直な気持ち。

男は強烈なマザコンなのだ!